これまで行動学の研究では「種内ではあくびに差はない」という前提がありました。

しかし、今回の発見により、その前提に疑問が投げかけられました。

恒温動物では、あくびが血流の促進や脳の冷却などの生理的機能と関わっていることが知られています。

今回のイワナの研究でも、同様にあくびの長さが環境適応の一部として変化している可能性が考えられます。

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あくびをするイワナの稚魚/ Credit: 北海道大学(2025)

この研究は今後、魚類だけでなく哺乳類や鳥類など他の動物でも同様の地域変異が存在するかを検証するきっかけになると期待されています。

また人間のあくびにも意外な地域差があるのか、将来的な研究対象となるかもしれません。

魚のような小さな生物でも、あくびに多様性があることが明らかになりました。

小さなイワナのささやかなあくびが、動物行動学に新たな問いを投げかけています。

今後のさらなる研究によって、動物界のあくびの不思議がどこまで解き明かされるのか注目が集まります。

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参考文献

イワナのあくびの長さは地域でちがう~動物のあくびの地域集団間変異を世界で初めて実証~
https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/05/post-1878.html

元論文

Fish yawn: interpopulation variation in yawning characteristics of juvenile white-spotted char Salvelinus leucomaenis
https://doi.org/10.1007/s10164-025-00844-w

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部