また仲介者がいるのかどうかも不明です。トルコでやるならエルドアン大統領が仲介する可能性はあります。バチカンでトランプ氏とゼレンスキー氏が二人っきりで椅子を向かい合わせで会談するシーンがありましたが、あんなシュールな光景はまずありえないとみています。

さて、誰が交渉の舞台に出てくるかはともかく、交渉がまとまるかどうか、についてはロシア、ウクライナの言い分が未だにかけなはれているように見えます。アメリカは資源のディールを済ませ、おいしいところを確保しているのでこの交渉にあとどれぐらい熱意を持てるのか、であります。私の見立てではトランプ大統領は「両国ともいい加減にしろ」という立場でどんな条件でもいいから一旦武器を置け、というスタンスに見えます。

ロシアはそれで満足するとは思えません。ロシアの言い分は「ここまで戦い、多数の犠牲者も出したし戦費も使ったのに成果がない状態で停戦などすれば国内で不満が爆発する」わけです。それこそ、プーチン氏が国内のテロリストに暗殺されるリスクが余計高まります。よって、よほどの条件、つまり東部ウクライナの割譲、戦争賠償なし、ウクライナのNATO加盟の永久放棄、ゼレンスキー氏の退任、さらに一枚加えて欧米の経済制裁の緩和のストレートフラッシュを求めてくるでしょう。

最大のジョーカーはトランプ大統領だと思います。この直接交渉に裏で関与し、SNSで介入するならばトランプ氏が「ゼレンスキーよ、そのうち、2,3枚は飲め」というでしょう。「お主が飲むなら俺も経済制裁緩和案を考えてもよいぞ」。その結果としてロシアにとって要求の過半数を確保できる最低条件が整えば、プーチン氏はにやりと笑い、「あと一息だな」というところで一旦交渉を中断させるような気がします。

ロシアは経済面や兵士の確保などで苦しいのか、といえば苦しいでしょうけれど破綻するような状況にはないでしょう。ロシア産の原油は中国やインドがせっせと買ってくれますし、資源国はそんなにやわな経済基盤ではありません。そもそもロシア人はソ連時代の貧困や物資不足に慣れており忍耐強さは世界でも有数の人種です。あと1,2年は戦争遂行能力はあると思います。