脳が「リズム感」を生み出すメカニズムが明らかになったようです。

普段、テンポのいい音楽を聴いていると体が自然と動くように、「リズムの知覚」と「リズムへの同期運動」は脳内でリンクしていると考えられます。

北海道⼤学は23年の研究で、私たちがリズムを知覚しているときに、脳がどのように反応しているかを調査。

私たちが感じているリズムは「小脳」で再現され、それをもとに「⼤脳基底核」がリズムに合った運動を作り出していることを報告しています。

この仕組みのおかげで、リズムに合わせた手拍子や踊りができるのかもしれません。

研究の詳細は、2023年6月6日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

目次

  • リズム感はどうやって発生しているのか?

リズム感はどうやって発生しているのか?

私たちは皆、得手不得手の差はあれど「リズム感」をもっています。

⾳楽のビートやネオンの点滅、列車の振動など、あらゆる周期的なものに対して、リズムを感じることが可能です。

リズムを感じているとき、私たちの脳内では周期的に繰り返されるパターンを再現した「内部モデル」が作られていると言われます。

例えば「ズン・チャ♪ズンズン・チャチャ♪」が1サイクルと認識すれば、それをモデルとして脳内で周期的に繰り返すのです。

この内部モデルによる予測があるおかげで、歌に合わせて時間遅れなく⼿拍⼦できたり、テンポの乱れに気づくことができます。

(聴こえてくるリズムが急に「ズン・チャ♪ズンズン・チャ♪」になると、内部モデルに従って、最後のチャが一つ抜けているのにすぐ気づける)

リズムは脳内で「内部モデル」として再現される
リズムは脳内で「内部モデル」として再現される / Credit: canva

さらに音楽を聴いていると体が自然に動いてしまうことがあるように、リズム知覚(内部モデルの構築)と並行して「リズムへの同期運動」が脳内でリンクしていると考えられます。

先行研究では実際、リズムを感じているときに体を動かしていなくても、脳内の感覚野とともに運動野が活発化することが分かっているのです。