研究者らは、このような個人差について、「自分を孤独と感じない人は皆似ているが、自分を孤独だと感じている人は皆、特有の方法で世界を認識している」という仮説を立て、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた調査を行いました。

結果、孤独を感じている人は孤独を感じていない人に比べて、より異質で特異な脳処理パターンを示すことがわかったのです。

孤独を感じている人は特異な脳反応を示す

今回の研究チームは、孤独を感じている人と感じていない人たちに同じ体験をしてもらい、その際の神経反応がどれだけ類似しているか評価を行いました。

具体的には、大学生66名(18歳から21歳)にビデオを視聴させ、その間の脳活動をfMRIで追跡しました。

そしてこれらのデータを、事前調査に基づく2つのグループ(「孤独を感じている人(35人)」と「孤独を感じていない人(31人)」)に分類しました。

b. 参加者2人を1組として、動画視聴中の脳領域の反応の相関を確認した。
b. 参加者2人を1組として、動画視聴中の脳領域の反応の相関を確認した。 / Credit: Baek, E. C., et al. Psychological Science. (2023)

さらに、分類したデータを使って、①孤独を感じている人のペア、②孤独を感じている人と感じていない人のペア、③孤独を感じていない人のペアを作り、彼らが同じ動画を観ているとき、動画の特定のシーンや出来事に対して、脳反応が類似するどうかを調べました。

もし脳反応が異なる場合、その人は「同じ体験をしているにも関わらず、他の人とは感じ方が異なっている」と解釈することができます。

結果、孤独を感じない人のペアでは、同じ動画に対して類似した脳反応が検出できたのに対し、孤独を感じている人のペアでは、同じ動画を見ても、脳反応がそれぞれ異なっていることがわかったのです。

この結果はどういうことを意味するのでしょうか?

友人に囲まれていても孤独を感じる

孤独を感じている人ほど、脳反応が人とは異なるという事実は、友達が少ないことに原因があるのでしょうか?