また、幼魚の時だけイソギンチャクと共生できるミツボシクロスズメダイについては、粘液中のシアル酸のレベルが低いことも判明したのです。
まだ謎は残る
クマノミ類とイソギンチャクの共生関係においてシアル酸の値が重要であることがこの研究で明らかになりました。
一方、クマノミ類がどのようにしてシアル酸の低い値を維持しているのかについてはまだ判明しておらず、研究チームは「粘液産生細胞がシアル酸を切断する酵素を高い値で発現されている」、「粘液の微生物叢にいる細菌がシアル酸を分解している」という2つの仮説を立てています。
また、OISTの海洋生態進化発生生物学ユニットを率いるヴィンセント・ラウデット教授はこの他の要因として、「魚の鱗の厚さ、種間の栄養素の交換、イソギンチャク自体の調整が考えられる」としています。
2つの共生関係は複雑
クマノミ類とイソギンチャクの共生は自然界における共生の中でも最も有名な例であり、様々な研究も行われてきました。
今回の研究により、この共生関係についての謎が解明されましたが、これはまだ共生の一部であり、クマノミ類とイソギンチャクの共生は非常に複雑なものだといいます。
今後の研究で共生関係の謎がまた解明されていくのが楽しみですね。
<サカナト編集部>