このように信頼を失った財政政策が、市場を大混乱に陥れたのがトラスショックです。
✅ 日本で同じことが起きる可能性はあるか?■ 共通点
大規模な減税による赤字財政(減税規模はどちらもGDPの2%程度) 財源が明確でない(社会保障費は増えているのに、収入を減らす) すでに高い政府債務(日本の借金はGDP比で世界最悪レベル) 長期金利がすでに上がりつつある状況(30年債・40年債利回りが急上昇)こうした共通点から、日本でも「財政への信頼が揺らげば、トラスショック的な反応が起きる可能性」は否定できません。
◾️シナリオ:日本版トラスショック(想定)
政府が「消費税を5%に引き下げる」と発表(財源は「今は問わない」) 国債市場で超長期債の売りが加速→ 利回り急騰(3.5%~4%台へ) 円安・輸入インフレが進行 金融機関や年金基金が国債の評価損に苦しむ 日銀がYCCや買い入れを再強化 → インフレがさらに加速 財政の持続性に疑問が広まり、財政赤字がさらに増える結果:政策の見直し・政権への強い批判・市場の不安定化(日本版トラスショック)
✅ 結論
消費減税そのものがトラスショックを起こすわけではありません。しかし、財源が不透明なまま実施され、しかも国債依存がさらに進むと、国債市場や為替市場が強く反応する可能性があります。
つまり市場の信頼を失ったときにこそ、トラスショックのような反応が起きます。債券市場はグローバル化が進んでいるので、自国通貨建ての国債かどうかは関係ありません。日本の財政に対する「最後の信頼の糸」が切れたとき、危機は現実になります。