アジはルアーでも狙うことができる。ジグ単が主体のアジングではドラグを甘く入れて魚の引きを相殺するので、アジが引く分だけ、ドラグ音がジーッ!と鳴り響く。25cmを超す良型アジになるとドラグ音も「悲鳴」というようなレベルとなり、「大物がかかった!」という実感が湧いてくる。
大型ゲストの引き味
沿岸の王者・シーバスとチヌもまた、独特の引き味を持つ魚だ。まず40cmを軽く超す「中大型魚」のシーバスやチヌは基本的に他の魚と一線を画して引きが強烈である。簡単に仕留められる獲物ではない。
チヌは引きがやや鈍めで、頭を叩くような「ゴンゴン」という感触が特徴的だ。最初のアタリはその体格に比して小さいが、そのあとにしっかりとした重みが伝わってくる。チヌはオープンに向かって走るものと、足元に向かって走る魚がいるが、どちらかといえばオープンに走る魚のほうが戦々恐々の引きで釣り人を魅了する。春のノッコミのチヌは短時間で反撃を繰り返してわりとすぐ上がってくるが、これが夏の大型となると、果てしない体力で15分以上泳いできて、なかなか姿を見せないこともある。

シーバスは、まずかけた瞬間に、バシャバシャと水面で暴れることが多い。「エラ洗い」といって、首を振ってハリを外そうとするのだ。シーバスの引き味は「突進」という感じで、あの普遍的な魚形の大型魚がまさしく海中の中であっちこっちに突進していく様子が引き味を通して感じられる。賢い魚で、ラインを切りにこようとするのも特徴だ。また最後の最後の抵抗でシーバスは足元に逃げ込もうとすることが多い。しっかりとロッドとラインの角度をコントロールしながら、シーバスの動きに対応しよう。
――いかがだろうか?魚の引き味にはそれぞれ独特の感触があり、慣れてくると、かかった魚がどんな引きをするかで魚種とサイズまで想像できる。メバルの軽快な引きからカサゴの重い引き、アジの速い走り、そしてシーバスやチヌの強烈な引き。その手応えを感じるために、釣り人は今日も海に向かう。