問題は、「退職後にどう動くか?」だ。退職は“終わり”ではなく、“再スタート”に過ぎない。その後の動きがキャリアの成否を大きく左右する。

退職後、自己理解を深める時間を設け、下記のような問いを立ててみるとよいだろう。

自分は何が得意か?不得意か? 何をしているときに時間を忘れるか? 社会からどんな価値を期待されているか?

この“問い直し”を経て、新しいスキルを学び直したり、情報収集を始めたりすることで、退職を「逃避」から「前進」へと転化できるのだ。

辞めた後どうするか?

仕事をやめたいからやめる、というのは本人の問題なので周囲が批判する必要はない。人生も仕事もすべて自分がやった過去の行動の結果は本人が受け止めるので、周囲がとやかくいう筋合いはないのだ。

だが知識として現状の環境認識はしておいて損はないだろう。まず、「一生働かなくていい世界」は現実的ではない。特にこれからの時代は、格差が広がる社会構造や、円安・インフレといった経済リスクが若年層を直撃する。

物価はじわじわと上がり、現金の価値は目減りしていくなら、資産運用をしなければ将来的に“じり貧”になる。だが資産形成のスタート地点に立つためにも、「働くこと」は不可欠なのだ。

また、離職が長期化すると再就職のハードルも上がる。採用市場では「職歴の空白」が不利に働く場合も多く、短期的な感情での退職が、将来の選択肢を狭める危険性もある。若い内はなんとでもなるが、30代後半になると巻き返しは非常に難しくなる。

そこを踏まえた上で今後の戦略を練るのが得策である。特に若い時期の働き方や仕事への価値観は一生を通じた固定値となるので、どんな仕事を誰とどのように働くか?にはこだわる価値はあるはずだ。

退職は個人の選択であり、その意思を尊重するのが社会の成熟だろう。キャリアは一本道ではないし、方向転換は悪ではない。早期の見切りは悪ではない。ただ、“その後”がすべてを決めるのだ。