レオ14世はフランシスコ教皇からバチカンに呼ばれる前は23年余り南米ペルーの宣教師として歩んできた聖職者で、貧困に悩む南米の教会の実情に精通しているといわれる。

新教皇を知るオーストリアのシェーンブルン枢機卿は「新教皇がフランシスコ教皇の道を継続することは間違いない。新教皇はフランシスコ教皇に似ているが、その言動は実務的で、相手の考えに先ず耳を傾ける。カリスマ性がある」と説明した。

世界最大のキリスト教派ローマ・カトリック教会は聖職者の未成年者への性的虐待問題が発覚して、教会の信頼を落とすとともに、特に、欧米社会では教会離れが進んでいる。また、聖職者の独身制の見直し、女性聖職者問題からLGBT(性的少数者)への対応など、世界の教会は多く難問を抱えている。

フランシスコ教皇の在位期間における重要な革新は、シノドス主義、すなわち共同体主義の強化だ。牧会神学者ポール・マイケル・ズーレナー氏はオーストリア国営放送とのインタビューの中で、「フランシスコにとって、教会のこの『シノドス化』は、第2バチカン公会議の教会のイメージの実現に他ならない」と語っている。

「世界シノドス」はフランシスコ教皇が2021年から2024年にかけて教会の刷新について話し合ってきた会合で、一般信徒や女性代表らも参加した。新教皇レオ14世は教皇選出直後の最初の演説で「教会シノドスの推進」を強調することで、自分が前教皇の教会路線の継承者であることを明らかにしたわけだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年5月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。