天文学者たちの間で、ある“ちっぽけな天体”が静かに波紋を広げています。

発見されたのは、星の数わずか60個。質量は太陽16個分。そして直径は20光年という超小型の構造体。

しかし、この天体は単なる星の集まり(星団)ではなく、銀河の可能性があるというのです。

もし「銀河」であると確認されれば、それは人類が観測した中で史上最小の銀河ということになります。

「UMa3/U1」と名付けられたこの天体は果たして、銀河なのか、それとも星団なのでしょうか?

目次

  • 銀河か、星団か?謎の天体「UMa3/U1」
  • 銀河と星団のどちらなのか調査

銀河か、星団か?謎の天体「UMa3/U1」

天の川銀河の外れ、おおぐま座の方向に見つかった「UMa3/U1」。

この天体は2024年にUNIONS(紫外線・近赤外線・可視光北天サーベイ)によって発見されました。

UMa3/U1については、発見直後から論争が巻き起こっています。

なぜなら、この天体が「銀河」なのか「星団」なのか、専門家の間でも意見が割れたからです。

一般的に、銀河とは数百万〜数十億個の星を抱え、ダークマター(暗黒物質)によって重力的に密に結びついた巨大な構造体です。

天の川銀河やアンドロメダ銀河のように、星やガス、星間物質が巨大な渦を描く姿を想像する人も多いでしょう。

一方で、星団とは星が数百〜数千個集まった、比較的小さくてダークマターをほとんど含まない構造です。

プレアデス星団などがその代表です。

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UMa3/U1の画像データ/ Credit: W. M. Keck Observatory

ところがUMa3/U1は、そのどちらにも当てはまらないように見えます。

直径20光年、星の数60個、太陽16個分の質量――これだけなら星団に分類されてもおかしくはありません。

しかし、もしこの天体がダークマターによって束ねられているとすれば、話は変わってきます。

というのも、UMa3/U1は「超低輝度矮小銀河(Ultra-Faint Dwarf:UFD)」の仲間である可能性もあるからなのです。