恐竜の王者ティラノサウルス・レックスはどこから来て、どのように誕生したのか。

その謎がついに解き明かされたかもしれません。

英ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)はその最新研究で、ティラノサウルスの直系の祖先が今日のアジアで誕生し、そこから約7200万年前に陸橋を横断して今日の北アメリカに移動。

そこでティラノサウルスへと進化した可能性が高いと発表しました。

北米を代表するティラノサウルスのルーツは「アジア」にあったようです。

研究の詳細は2025年5月7日付で科学雑誌『Royal Society Open Science』に掲載されています。

目次

  • Tレックスはどこから来たのか?
  • Tレックスのルーツは「アジア」にあった⁈

Tレックスはどこから来たのか?

映画『ジュラシック・パーク』でおなじみのTレックスは、今日のアメリカとカナダを含む北米大陸でのみ化石が産出することで知られています。

彼らは約6600万〜6800万年前の白亜紀末期、つまり恐竜時代の終焉に生きていました。

Tレックスの化石は特に、今日の北米大陸の中西部〜西側にかけて産出されます。

これは当時の北米大陸が、内陸の海路によって東西に分断されていたことが関係しています。

そしてこのときにTレックスが生息していた島大陸を「ララミディア大陸」と呼びます。

画像
白亜紀後期9960万〜6600万年前に内陸海路で分断されていた北米大陸、左側の縦長の島大陸がララミディア/ Credit: ja.wikipedia

Tレックスの化石はこれまで北米大陸でしか見つかっていないため、専門家らは長らく「Tレックスは純粋な北米生まれの恐竜である」と推測してきました。

しかし近年になって、この主張に一石を投じる研究が増えつつあります。

というのもTレックスの化石を詳しく調べてみると、北米を原産とするティラノサウルス類(例えば、ダスプレトサウルス)よりも、今日のアジアを原産とするティラノサウルス類(例えば、タルボサウルス)に近いことが示されているからです。