ポイントは、触れた場所の表面温度を下げることと、木べらの多孔質な表面にあります。

木べらに泡がかかると、その部分の温度が周囲より下がります。
その結果、泡内部の気体がわずかに収縮して膜が緩み、割れやすい状態になります。
さらに木の表面には顕微鏡レベルで無数の孔があり、まるでスポンジの表面のようになっています。
ここに泡が当たると局所的なひずみが発生。
刺激を受けて膜に裂け目が入り、一気に破裂して中の空気が放出されることで、泡が「パチン」と消えていきます。
この作用によって鍋の縁に積み上がる泡の量が減り、吹きこぼれまでの時間を稼ぐことができるのです。
もちろん木べらでなくとも、表面温度を下げたり、多孔質の表面を利用できたりするものであれば、鍋の上に置くことで同様の効果を発揮します。
しかし、このライフハックを試したある人たちは、「効果がなかった」と感じます。
どうしてでしょうか。
「木べら」効果がすぐになくなる理由と確実な対策
乾いたスポンジが空気を通し、濡れると孔がふさがれるのと同じように、木べらも乾いた状態では孔が有効に働きます。
しかし孔に水分や粘性成分が入り込んでふさがれると、その表面は、泡をはじけさせるほど多孔質ではなくなります。
また、木べら自体が熱せられると、表面温度を下げることもできなくなります。
木べらを鍋の上にずっと置いておくなら効果はありませんし、たとえ一時期効果を発揮しても、それがずっと続くわけでもありません。
「試してみたけれど効果を感じられなかった」という主張の背後には、こうした理由があるのです。
