北海道新幹線の利用者数は少なくとも1万人以上に
北海道新幹線がJRの経営の経営を圧迫する懸念はないのか。
「JR北海道の発表では2023年度に鉄道事業で営業利益を上げた路線・区間は札幌圏を含めて一つもありません。そうしたなかで北海道新幹線新函館北斗~札幌間の延伸は同社にとって営業利益を上げられる可能性のある路線だといえます。
国が5年ごとにまとめた『全国幹線旅客純流動調査』によると2015(平成27)年度に南関東(東京都、埼玉・千葉・神奈川の各県)と札幌市付近との間を往復した人の数は1日平均2万514人でした。現状で交通機関別のシェアでは新幹線の割合は極めて少ないのですが、東京~札幌間が新幹線で結ばれると一変する可能性があります。北海道新幹線開業後も所要時間面では航空が有利ながら、都心部と空港とのアクセス、それから北日本特有の冬季の悪天候の影響を考えると新幹線が有利だからです。
たとえば、2015年度に南関東と青森市付近とを往復した人の数は1日平均3257人で、うち71.1パーセントの2314人が新幹線を利用しました。在来線に乗り入れる秋田新幹線は所要時間面では航空と比べて不利ながら、同年度に1日平均4303人が南関東と秋田市付近とを往復したなか、新幹線を利用した人は1877人で、43.6パーセントを占めていました。
仮に1日平均2万514人の利用者のうち、新幹線のシェアが青森市付近の71.1パーセントであれば1万4585人、秋田市周辺の43.6パーセントであれば8944人になると考えられます。現状の北海道新幹線の1日平均の利用者数の3828人を加えれば、北海道新幹線の利用者数は少なくとも1万2772人から1万8413人になるでしょう。この数値でも損益分岐点付近かもしれませんが、新幹線という乗り物が新たに開業することで新たな移動需要が生まれる点を加味すれば、札幌延伸に期待は高まります。
とはいえ、開業時期が見通せないなか、JR北海道が新函館北斗~札幌間の開業まで経営を維持できるかどうかは不明です。並行在来線となる区間を先行して同社から経営分離するとか、JR旅客会社同士でコストを比較して総括原価方式で上限運賃を決める方式を見直して、同社が存続可能な運賃に改められるようにするなど、行政側の援助が求められます」(同)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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