とはいえ、人型ロボットの性能が高まるにつれ、その危険性が増すことは事実です。
切れ味のよい包丁の用い方を誤れば、より深い切り傷が生じるのと同じです。
ちなみに、2025年2月に投稿された動画では、同じく人型ロボットが来場者を威嚇する姿が映っており、すぐさま警備員に拘束されています。
Chinese AI robot goes rogue and attacks a person before getting shut down! 🇨🇳 🤖
Just a little preview of our bright future.. pic.twitter.com/esZRSWOBJP
— Global Dissident (@GlobalDiss) February 20, 2025
このように、AI搭載型ロボットの「意図しない動作」もしくは「暴走」は、今に始まった話ではありません。
過去にも、家庭用ロボットが誤作動を起こして家具を破壊した例や、AIチャットボットが差別的な発言を繰り返すといった問題が報告されています。
しかし、今回のような人型ロボットの暴走は、私たちにより強いイメージを与えます。
なぜなら、私たちの脳は「人間に似た存在」が暴れる姿を、単なる機械よりも強い恐怖として受け取るようにできているからです。
これは「不気味の谷現象」と呼ばれる心理的反応で、ある程度人間に似たロボットが逆に不快感や恐怖を引き起こすことが知られています。
そしてその感情は、単なる生理的反応にとどまらず、「このロボットは自我を持ち始めたのでは?」という誤解すら誘発する可能性があります。

現時点でのAIには「意志」や「悪意」はありません。
それは今回の事件でも同じです。
とはいえ、重要なのは「人間側の認知」です。
たとえ中身がただのアルゴリズムでも、人間に似た姿で危険な動きを見せれば、「このロボットは危険だ」「支配されるかもしれない」と感じてしまうのです。