高齢者の社会参加を促すなら、所得に応じた応能負担の原則を徹底し、本当に支援を必要とする人に限定する制度設計が求められます。限られた財源を公平に配分する視点を欠いたままの制度拡大は、将来世代にツケを回す結果になりかねません。

老人医療の無料化を最初に始めたのは、美濃部亮吉・元東京都知事です。彼は老人向けの無料パスなど、手厚い福祉を次々と導入しましたが、結果として都の財政は大赤字に転落しました。その反省もあって退任に追い込まれたのですが、どうやら当時の苦い教訓はすっかり忘れられているようです。