ここでは「無意識」という世界が大きな働きをするのではないか。スイス人の心理分析学者カール・グスタフ・ユング(1875年~1961年)は無意識を「個人的無意識」と「集団的無意識」の2つに分類している。そして後者の「集団的無意識」は「マンデラ効果」を理解するうえで大きなヒントを与えているように感じる。「不特定多数」が共有する情報(偽情報を含む)を「集団的無意識」と名付けたのではないか。

記憶は単に個人的なものか、集団的な記憶があるように、無意識にも個人的と集団的の2分類があるとすれば、「マンデラ効果」とは偽情報から構築されていった「集団的無意識」ともいえるわけだ。

繰り返すが、情報は生き物であり、受信された情報は左脳で処理され、右脳の世界で素晴らしい音楽や文芸作品として生まれてくる。しかし、情報への対応が間違った場合、問題が生じてくる。「マンデラ効果」に操られつづけば、真実の情報を失う危険性が排除できなくなるのだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。