もちろん問題は存在しているわけですが、実は大変些細なことが大問題のように騒がれることも事実です。移民が多い欧州や北米に住んできた自分からすると、移民問題に関する日本の沸点は大変低く、解決策を検討する前に大炎上してしまい、収集がつかない感情論での言い合いになっています。
このような状況になってしまっているのは、自治体や国がデータを公表したり、有権者にわかりやすくまとめるといった努力を怠ってきたからです。
また、ウェブサイト上の統計や報告書としてまとめるだけではなく、オープンな議論の場を設けたり、対面でのイベントで対話の機会を設けるのも非常に重要だと考えます。
さらに注意が必要なのはこのような透明性を欠いた移民をめぐる議論が、日本の敵国にプロパガンダの材料として使用されている事実があることです。
事実欧州では移民問題が国内対立を悪化させるためのプロパガンダの材料としてここ数年使われてきたのです。
移民を受け入れよという左派勢力へ加担する勢力もあれば、移民反対の右派の世論が盛り上がるように偽動画も流したりSNSで工作したりする。そして移民のブローカーが大量の移民をターゲット国に送り込み世論を悪化させました。
感情を煽る議論があまりにも多かったために、データに基づいた冷静な議論が手薄になっていました。
もちろん移民の激増には大問題が多いです。法的な抜け穴も多い。しかし問題解決にはまずデータを集め公表すること。冷静に議論することが必須です。
先日NHKではクルド人問題に関するドキュメンタリーが放送されましたが、あの番組を見た視聴者を大きな会場に集め、左右双方の識者やネットのインフルエンサー、法務省の移民担当観や閣僚、さらにトルコを始めとする海外の関係者も含め、皆で議論する場を設けるべきだと考えます。
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