エジプト、ギザの巨大なピラミッド群は、世界有数の謎として人々を魅了し続けている。その謎に新たな1ページが加わった。TOCANAでも先日紹介したように、先月、イタリアの科学者チームが、ピラミッドのはるか地下深くに、広大な地下構造――まるで地下都市のようなもの――を発見したと発表したのだ。
地中レーダー探査(GPR)という技術を用いた調査で、カフラー王のピラミッドの下に巨大な立坑や部屋が存在することが示唆されたという。この研究はまだ専門家による検証(査読)を経ておらず、公式な論文発表前の段階だが、すでに大きな波紋を広げている。特に、「失われた超古代文明がピラミッド建設に関与、あるいは影響を与えたのではないか」という、学界では異端とされる説に再び注目が集まっている。


彗星が大災害を引き起こした? 語り継がれる洪水伝説
作家グラハム・ハンコック氏らが長年提唱してきた説がある。それは、約1万2800年前に高度な技術を持つ先史時代の社会が存在し、彗星の衝突が引き金となった可能性のある地球規模の大災害によって滅亡した、というものだ。この仮説では大洪水などの混乱が文明の痕跡を消し去り、生き残った人々が知識を後の文化、古代エジプトを含む後世の文化に伝えたとされる。
この説を補強するかのように、著名な地質学者が、エジプトがまさにその彗星衝突に関連する壊滅的な洪水を経験した可能性を示す地質学的証拠があると指摘している。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジェームズ・ケネット博士は、北米に存在した高度な「クローヴィス文化」が、彗星衝突と同時期に謎の消滅を遂げたことを指摘。「北米では1万2800年前に大規模な人口減少が始まった証拠がある」と語る。
ケネット博士は、エジプトで同様の影響があったとは断言できないとしつつも、ギザから比較的近いシリアの遺跡で発見された衝突の痕跡は重要だと考える。もしこの地域に彗星の破片が落下していれば、地中海やナイル川から大規模な洪水を引き起こし、古代エジプトの一部が水没した可能性も否定できないというのだ。
興味深いことに、この洪水の話は古代エジプトの神話とも奇妙に一致する。先史文明研究者アンドリュー・コリンズ氏は、ギザから遠く離れたエドフ神殿の壁画(ヒエログリフ)に、「最古の者たち」と呼ばれる謎の文明を滅ぼした大洪水に関する記述があることを指摘する。エドフの碑文には、ギザ地域にあったとされる「聖なる領域」が「敵の蛇」によって破壊され、世界が闇に包まれ、土地が大洪水に沈んだと記されているという。