ファストフードの摂取頻度や身体活動の状況は、思春期および成人初期において標準化されたアンケートで測定されました。

ファストフードの摂取については、参加者が過去1週間にファストフード店でどれくらい食事をしたかを報告し、思春期では週3回以上、成人初期では週4回以上の利用が「高頻度の摂取」と定義されました。

身体活動については、スポーツや運動などの中〜高強度の活動を前週に何回行ったかを尋ね、米国の健康ガイドラインに基づいて「運動不足かどうか」を判定しています。

年齢、性別、人種、家計所得、肥満、うつ状態、近隣環境といった他の因子を調整したうえで分析。

その結果、幼少期にADHDと診断されていた参加者は、成人後におけるファストフード摂取の増加と有意に関連していることが判明したのです。

具体的には、ADHDの既往歴がある人は、そうでない人と比べてファストフードを高頻度で摂取する確率が49%高くなっていました。

この関連は思春期には見られず、若者が自立し食事の選択権を持つようになる成人初期に顕著になることが示唆されました。

一方で、幼少期のADHDと思春期および成人期における運動不足との間に有意な関連は見られませんでした。

なぜファストフードを頻繁に食べるようになるのか?

ADHDの人がファストフードを頻繁に食べるようになる理由には、次のようなものが考えられると研究者は指摘します。

まず、ADHDの人は「遅延報酬」、つまり「今ではなく将来に得られるメリット」を待つのが苦手で、今すぐに得られる「即時報酬」に強く惹かれる傾向があります。

ファストフードは、手間をかけずにすぐに食べられ、塩分・脂肪・糖分が多く、脳の報酬系をすぐに刺激します。

要するに、ADHDの人にとって、ファストフードは「すぐ手に入る快感」として非常に魅力的なのです。

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Credit: canva

またADHDには衝動性が特徴として含まれており、「考えるより先に行動してしまう」「長期的な計画より目の前の欲求を優先する」傾向があります。