韓国・浦項工科大学校(POSTECH)の研究者たちは、ドローンが苦手としてきた「急停止」を、まるでムササビのような滑空膜によって実現する新型ムササビドローンを開発しました。
このムササビドローンは通常の4枚プロペラのクアッドコプターとして飛びますが、必要なときだけ翼を展開し、空気抵抗を使って瞬時にブレーキをかけられるという驚きの機能を持っています。
さらに滑空も可能という柔軟な飛行スタイルも備えています。
研究の詳細は、2025年4月13日付で『arXiv』にて公開されました。
目次
- 止まりたくても止まれない!従来のドローンは急停止が苦手だった!?
- ムササビの滑空術がドローンに「急減速」「瞬時の方向転換」をもたらす
止まりたくても止まれない!従来のドローンは急停止が苦手だった!?
これまでのドローンは、私たちの生活や産業にさまざまな変化をもたらしてきました。
空撮映像を可能にし、農薬散布や物流、さらには災害救助まで、多くの場面で活躍しています。

しかし、そんなドローンにも、大きな弱点がありました。
それが「急停止」の難しさです。
通常のドローンは、プロペラを高速回転させることで揚力と推進力を生み出しています。
このため、横方向に高速移動している際に、ピタッと止まるのは構造的に難しいのです。
例えば森林の中や、ビルが立ち並ぶ都市空間のように障害物が多い環境では、急な方向転換や停止が必要になります。
しかし従来のドローンでは、慣性によりスムーズに止まれず衝突してしまうリスクがありました。
またプロペラだけで姿勢制御と減速を両立させるのは、エネルギー効率が悪く、バッテリーの消耗も激しくなります。
加えて、空中に長く滞空するほど、外的要因(風など)による不安定さも増します。
