ネコやキツネといった野生化した捕食動物が主な原因と考えられており、そこに生息地の劣化や火災による環境の変化が重なり、ミミナガバンディクートは次々と数を減らしてしまいました。

住む場所も限定され、このユニークで可愛らしい動物は、絶滅危惧種へと追い込まれたのです。

そこで20世紀後半、ミミナガバンディクートを救うため、AWCは大きなフェンスで囲った保護区を複数設置しました。

では、どんな結果になったでしょうか。

保護区のミミナガバンディクートが復活!

画像
保護区内で3000匹を超える大復活 / Credit:Wayne Lawler(AWC)

AWCは最近、ミミナガバンディクートが、オーストラリアの一部の地域で復活していることを報告しました。

保護区内の個体数が急増し、約3,330匹にまで増加したのです。

現在、6か所の保護区のうち4か所は過去10年以内に新設された地域で、個体数の増減が見られます

若い親子の姿も多く見られるようになり、健全な世代交代が順調に進んでいることが分かります。

保護区が捕食者たちからミミナガバンディクートを効果的に守ってきたことがよく分かります。

画像
環境変化の試練がミミナガバンディクートを少しずつ強くするはず / Credit:Wayne Lawler(AWC)

それでも、ある保護区では2023年2月時点で約1,770匹いた群れが、2024年11月時点で約986匹にまで減少しました。

これはこれらの期間で生じた干ばつが原因です。

土地の乾燥や食料資源の不足により、保護区内のミミナガバンディクートたちにも影響が出たのです。

しかし、AWCの研究者は「厳しい環境は種の適応力を試すための試練であり、保護区内なら再び回復が期待できる」と述べています。

アンソン氏も、「ビルビーのゲノムは様々な環境の選択圧にさらされ、気候の変化に対する耐性が少しずつ高まります」と述べており、こうした試練を通して、適応能力が高まっていくことが期待されています。