UFO史上で最も有名かつ物議を醸す「ロズウェル事件」。1947年にアメリカ・ニューメキシコ州ロズウェル近郊で墜落したとされる謎の物体を巡り、「墜落したのはエイリアンの宇宙船だった」「米軍がその事実を隠蔽している」といった説が長年囁かれてきた。
そんな中、事件の鍵を握る人物の未公開インタビュー音声が発見され、UFOコミュニティに衝撃が走っている。この新証拠は事件の真相解明に繋がるのか? それとも、さらなる謎を呼ぶのだろうか?
発見された物理学者のインタビュー音声
この新証拠を発見し、X(旧Twitter)で最初に公開したのは、未解明現象を追うアカウント「@ATUnexplained」だ。アメリカ国立公文書館から公開された資料の中に、これまで知られていなかった物理学者チャールズ・B・ムーア氏のインタビュー音声の一部が含まれていたのである。ムーア氏は、ロズウェル事件の真相として米軍が後に発表した「モーグル計画」に関わっていた重要人物だ。
音声は約3時間に及び、ムーア氏がモーグル計画(高高度気球を用いてソ連の核実験を監視する極秘プロジェクト)に関する詳細と、ロズウェル事件との関連について語っている。この音声はその後、ポッドキャスト番組「Vetted」でも取り上げられ、その内容が持つ意味についてさらに深い議論が交わされた。
「記録外」文書の存在と情報隠蔽の実態 特に注目を集めたのは、4番目の音声の19分59秒から始まる約1分半の会話だ。ここでムーア氏は、ロズウェル事件に関連する文書が、米空軍のマルセラス・ダフィ大佐の自宅地下室にある木箱の中に、「off record(記録外)」、つまり公式記録に残されない形で保管されている、と述べているのだ。
「ダフィ大佐が掘り起こしたもので、彼はそれらが他のUFO愛好家たちの手に渡らないようにしたがっている」とムーア氏は語る。さらに、これらの情報がFOIA(情報公開法)を通じて公になるのを避けるための意図的な動きがあったことも認めている。当時のウィーバー大佐が、資料が公にならないよう、私的なルートで情報伝達を手配すると約束した、とムーア氏は証言している。
しかし、この情報隠蔽の動機は、地球外生命体の存在を隠すといった壮大な陰謀ではなかったようだ。ムーア氏の話によれば、主な懸念はモーグル計画に関連する文書の機密性を守ること、そしてダフィ大佐のような関係者の雇用や評判を守ることにあったという。つまり、官僚的、あるいは組織防衛的な利害に基づいた行動であり、大規模な悪意ある陰謀の一部ではなかった可能性が高い。
ムーア氏はまた、デイブ・アトラス氏のメモを引用し、ダフィ大佐が「機密扱いではない文書で満たされた木箱」を地下室に保管していたとも述べている。技術的には秘密文書ではないものの、非公式な形で保管されていたことは、公的なアクセスを困難にし、1947年の出来事に関する完全な解明を妨げていたことを示唆している。