上福元のパスを受けた大野(センターバック)がペナルティエリアの横幅からはみ出た位置、これに加えDF畑大雅(左ウイングバック)も自陣後方タッチライン際で福岡陣営のプレスを浴びたため、大野としては前方へのロングパスしか選択肢がない状態に。このロングボールを秋野に回収されたうえ、福岡のサイド攻撃を浴びた。

3センターバックがペナルティエリアの横幅に収まる立ち位置をとり、なおかつウイングバックが相手サイドハーフとサイドバックの間、もしくは相手ウイングバックの手前に立つようになった昨夏以降は湘南のパス回しが安定。センターバックが中央と左右、どの方面へもパスを出せる状況を常に作ることで、相手の守備の出足を鈍らせていた。ビルドアップが上手くいっていた昨夏以降の攻撃配置を思い出す。これこそ、湘南が今やるべきことだ。

サイドチェンジのパスを正確に繰り出せるMF鈴木雄斗が福岡戦でベンチスタートとなったため、この試合では特に相手のプレスを掻い潜るのに苦労している。同選手のロングパスや鈴木淳之介の力強いドリブルは湘南にとって強力な武器であるものの、同クラブがJ1残留争いの常連から脱却するためには、彼らのスキルに依存しないビルドアップを構築する必要がある。そのためにも、昨夏以降の攻撃配置を思い出したいところだ。

(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。