また、同じく前半11分に福岡の左サイドバック志知が自陣のタッチライン際でボールを受け、ここへ池田が寄せたものの、同選手の後ろに立っていた秋野へボールが渡ってしまっている(図B)。

(図B)湘南の守備シーン

相手のパス回しをサイドへ追い込んだ際に、相手ボランチを誰が捕捉するのか。この点が曖昧になるのが湘南のかねてからのウィークポイントであり、最終スコア0-3で敗れた第7節清水エスパルス戦でもこれが原因で失点を喫している。福岡のDF志知がタッチライン際でボールを受けた場面に話を戻すと、池田が志知に寄せるのであれば根本が秋野をマークする、もしくは湘南MF藤井智也(右ウイングバック)に志知へのアプローチを任せ、池田が秋野を捕まえる。このどちらかを実践すべきだった。

前半13分から14分にかけてのシーンでも、湘南は相手の2ボランチを捕まえきれず。秋野と松岡を経由するパス回しに晒されたうえ、最終的には福岡MF見木友哉のシュートを浴びている。GK上福元の好セーブで事なきを得たが、湘南としては失点に直結してもおかしくない場面だった。相手のパス回しを片方のサイドへ追い込む守備は今季序盤からできているだけに、今後は相手ボランチの捕捉を抜け漏れなく行いたいところだ。

大野和成 写真:Getty Images

攻撃配置にも気になる点が

3センターバックの両脇の選手が自陣後方タッチライン際でボールを受ける、またはウイングバックの選手がこの位置へ降りてボールを受けたり、受けようとしたりする。これにより湘南のビルドアップ(GKや最終ラインからのパス回し)が淀むケースが一昨年から散見されており、この試合も例外ではなかった。

前半16分の湘南の攻撃シーンがこの最たる例で、ここではセンターバックの大岩が自陣後方タッチライン際でボールを受けたため、福岡のMF見木に寄せられている。これにより大岩は前方へのパスコースを失い、味方GK上福元へのバックパスを余儀なくされた。