極右「自由党」は選挙戦では社民党の難民政策を批判してきたが、ルドヴィク市長の赤の砦を脅かすことは今回もできなかった。それほど70年余りの間で築かれてきた社民党の政治基盤、ネットワークは強固というわけだ。

選挙後、ルドヴィク市長が主導する連立交渉が始まっているが、大方の予想で社民党とネオスの現連立政権が再現されるものとみられている。ルドヴィク市長は「迅速に連立政権を発足させたい」と述べている。一方、ウィーン市自由党のネップ党首は「わが党はいつでも政権入りする用意があるが、社民党はわが党の政権参加を拒否している。わが党に投票した20%の市民の声を殺している。民主主義に反する。いずれにしても、わが党は野党として社民党の政策、腐敗やスキャンダルを暴いていく」と強調している。

ちなみに、自由党は選挙の度に得票率を伸ばすが、他の政党が自由党との連立を拒否していることもあって、政権担当は難しい。昨年9月末の国民議会選挙で自由党は初めて第1党に躍進、キックル党首は首相ポストをほぼ手に入れていたが、土壇場で国民党との連立交渉が破綻したばかりだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。