この顧客の総コストという概念がわかると、色々な打ち手が可能になります。
さきに挙げた「①課題を認識させてくれた人から買う」人は、こう考えています。
「確かに他の保険商品を探して、比較検討したり、第三者の意見を聞くと、安い保険があるかもしれないね。でもそれって手間がかかるよね。家族の安心も大事だし、少々高くてもすぐに買おう」
つまり保険商品の料金が少々高くても、「保険商品の提供価値=妻や子どもたちの将来への不安への解決策」の方が上回っており、かつ商品の料金以外の「検索/購入のコスト」も負担に感じて、課題を認識させてくれた人から買う訳です。課題を認識させてくれた過程を通じて、セールスに対する信頼が生まれたことも要因かもしれません。
問題は「②他によい商品がないか検討を始める」お客さんです。成果を上げるセールスは、事前にここにも目を配りをして、こんな話をします。
「お客様には、いまオススメしているこの保険がベストだと考えています。ご参考までに、他3社のプランとご提案のプランを比較したのがこの表です。引用元はこちらにありますので、必要でしたらあとでご確認ください」
こうして信頼性が高い情報で比較検討した結果を提示することで、「検索/購入のコスト」を減らして、商談を成功させます。
さらに法人営業の場合は、顧客事例や実績、メディア記事なども解決コストを減らす手段になり得ます。
「顧客の総コスト」という視点を持ち続ければ、価格競争から抜け出せるのです。
編集部より:この記事はマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏のオフィシャルサイト(2025年4月29日のエントリー)より転載させていただきました。永井孝尚氏のメルマガのご登録はこちらから。