b-bee/iStock

前回、『値下げせずに売るには?─「質問」で買いたくさせる営業の極意』というブログを書きました。

おさらいすると、

ジョンが、保険セールスのダンから電話を受けた

ダンは質問でジョンに家族の学費・ローン・万一のリスクを自覚させ、「保険料<将来不安の解消価値」という構図を成立させた

結果、コモディティ商品なのに、値引きゼロで即決成約に成功した。

セールスが磨くべき武器は商品説明ではなく、顧客の課題を理解し、課題をあぶり出す質問を準備すること

という内容でした。

このブログに、こんなご意見をいただきました(内容は要約しています)。

でも価格意識の高い顧客は、提案を受けても複数社を比較するし、疑い深い顧客はセカンド・サードオピニオンを求めるかもしれない。比較作業そのものが面倒で、保険契約をやめる可能性だってある。今回の提案手法は第一段階であって、ここから複数の施策を常日頃から考え、実践していける営業こそが「成果を出せる営業」

とても重要なご指摘なので、今回はこれを深掘りしたいと思います。

ポイントは「課題は認識した。でもなんであなたから買うの?」ということですよね。

セールス活動では、課題を認識した人のアクションは、二通りに分かれます

① 課題を認識させてくれた人から買う ② 他によい商品がないか、検討を始める

ご意見をしてくださった方のポイントは、「現実には①ではなく、②の人が多いのでは?」ということです。ここでカギになるのは図にある「顧客の総コスト」という概念です。お客様は自分自身が気付かないうちに、様々なコストを抱えているのです。

ポイントは、商品の料金は「検索/購入のコスト」の一部に過ぎないという点。商品を買う際には、他にも様々なコストがかかっています。

探索コスト … 業者とそれぞれの商品の価格/条件を探索する。価格・補償条件も調べて、さらに一次情報の信頼性を確かめる手間もあります​ 時間的コスト … 調べた商品を比較検討します 身体的コスト … さらにセカンド/サードオピニオンを得る際に要する労力もかかります