ボーンコレクターの個体が野外で確認されたのは、これまで僅か62匹だけです。

そして今回、ハワイ大学マノア校の研究チームは、この貴重な野生のボーンコレクターを観察し、その行動を報告することができました。

通常、クモの巣に入り込む小さな生物は、クモのターゲットになってしまいます。

しかし、ボーンコレクターは巧妙かつ恐ろしい方法で、クモの目を欺いていると分かりました。

死骸を食べ、死骸をまとうボーンコレクター

ボーンコレクターと呼ばれる小さなイモムシは、クモの巣に潜り込むと、クモの巣に捕らえらえた獲物を食べます。

死んでいる昆虫や衰弱した昆虫を喜んで食べるのです。

獲物がクモの糸で包まれているとしても、ボーンコレクターはその包みさえも噛み解いて中身を食べることができます。

では、そのようにしてクモの獲物を横取りする彼ら自身は、クモのターゲットにならないのでしょうか。

なんと彼らは自らの体に他の昆虫の死骸をまとうことで、クモの目を欺くのです。

まさに「ボーンコレクター(骨収集家)」というわけです。

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食事中のボーンコレクター。死骸の中から本体のイモムシが見えている / Credit:Daniel Rubinoff(UH Manoa)et al., Science(2025)

彼らは、クモの脱皮した体の一部や、昆虫の死骸の食べられない部位を慎重に選び出し、サイズをカットして自分の体に貼り付けます。

研究者たちが行った実験によると、ボーンコレクターたちは、小枝や葉、樹皮などが近くにあってもそれらを避け、昆虫の破片だけを集める傾向がありました。

彼らは意図的に死骸を集め、死骸で身を隠しているのです。

そしてその効果は非常に高く、クモの目を欺くカモフラージュになっています。

研究チームは、「この幼虫がクモに捕食されたり、クモの糸に包まれたりしている様子が発見されたことは一度もない」と述べています。

ボーンコレクターのこうしたユニークな行動はただでさえ私たちの興味を引き付けますが、観察ではより驚きの事実が分かりました。