死者をまとい、獲物を食らう肉食のイモムシ。

ハワイ大学マノア校(UH Manoa)の研究チームは、ハワイのオアフ島で、そんな恐ろしい生物を発見しました。

彼らが観察したのは、“ボーンコレクター(Bone Collector)”と呼ばれるHyposmocoma属のイモムシです。

このイモムシは、クモの巣に侵入し、巣にかかった他の昆虫の死骸を自らに縫い付けてカモフラージュするというユニークな行動を取ります。

この研究成果は、2025年4月24日付の『Science』誌に掲載されました。

(閲覧注意:記事内に死骸をまとったイモムシの画像があります)

目次

  • クモと共生する肉食のイモムシ「ボーンコレクター」
  • 死骸を食べ、死骸をまとうボーンコレクター

クモと共生する肉食のイモムシ「ボーンコレクター」

イモムシというと、多くの人は植物を食べる幼虫を思い浮かべるでしょう。

実際、葉っぱをむしゃむしゃと食べているイモムシを見たことがあるの人は多いはずです。

とはいえ、自然界には肉食のイモムシも存在します。

もちろん、そんな種は稀であり、既知の蝶や蛾の中でも他の生物を好んで食べる幼虫はわずか0.1%に過ぎません。

例えばそれらの幼虫は、ハチやアリの幼虫、他の昆虫の卵など、動きが遅いか、動かない獲物をターゲットにします。

そしてその中には、よりユニークな幼虫もいます。

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ハワイ特有の肉食イモムシ。その特異な行動から「ボーンコレクター」と呼ばれる。 / Credit:Daniel Rubinoff(UH Manoa)et al., Science(2025)

ハワイ固有の蛾Hyposmocoma属に含まれるそのイモムシは、「ボーンコレクター(bone collector)」と呼ばれており、クモと共生し、クモの巣に捕らえられた獲物を食べるという独特の行動を見せるのです。

このユニークな種は、ハワイのオアフ島の山腹でのみ発見されており、樹洞や岩の割れ目に張られたクモの巣だけに生息しています。