したがって、「時間先行・空間後付け」という発想を本当に宇宙全体の理論にまで発展させられるかどうかは、今後の研究次第と言えるでしょう。
それでもこの研究が興味深いのは、「量子ビットの初期状態を知らない状態からスタートしても、連続的な測定結果の相関を見るだけで三次元空間の骨格が再構築できてしまう」という点にあります。
観測者が「どんな空間で実験しているか」知らなくても、“測定の連鎖”が積もり積もって空間的な情報を引き出せるのです。
これは単に量子情報や基礎物理の話にとどまらず、“認識論”や“情報理論”の面でも大きなインパクトをもたらします。
このアイデアを発展させれば「そもそも時空とは何か」「空間と時間はなぜ融合しているのか」という、根源的な疑問への一筋の光が射すかもしれません。
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元論文
Geometry from quantum temporal correlations
https://doi.org/10.48550/arXiv.2502.13293
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部