ブルームバーグには「FRB利下げ年内3回完全織り込み、トランプ関税発動で『転換点』」とあります。今回の関税で雇用及び景気の減速を見込んでいるのでしょう。特に個人消費が弱まる公算は高く、マスク氏が政府部門の雇用を削減している中で民間部門の雇用も急速に悪化するならば利下げは当然の成り行きかもしれません。ただ物価は関税によるスタグフレーション化で今より1ー2割上がるものが続出し、企業も値上げ転嫁できず、利益圧迫、業績悪化という実に都合の悪いシナリオが生じる公算も大いにあると思います。
カナダでは来週月曜日に新首相が決まります。現時点で元カナダ中央銀行総裁でその後、史上初の英国での外国人中央銀行総裁となったマーク カーニー氏がかなり有利になっています。また、3月中にも出されるとされる野党による内閣不信任案を受けて秋の期間満了を待たず、総選挙になる公算も高いと思います。以前、その場合には野党の保守党が勝つだろうと述べたのですが、このひと月でカナダの様相はすっかり変わりました。保守党党首、ポワリエーブル氏は「カナダのトランプ」と称され、アメリカ追随型されますが、カナダ国民感情がアンチ アメリカとなっているため、世論調査で25ポイントぐらいリードしてた保守党は現与党の自由党に逆転を許してしまったのです。また第三党である新民主党は昨年暮れに自由党とトルドー氏嫌いで「縁切り」をしたのですが、再度自由党との連立に前向きになっています。
自由党と新民主党を合わせれば支持率で過半数を超える状況にあるため、今、総選挙をすれば自由党の党首、それはカーニー氏の可能性が高いのですが、が首相をしばらくやるということになりそうです。その場合、カーニー氏が対トランプ政権にどのような対策を打ち出すか、国民の期待を一身に背負うことになりそうです。
個人的にはこの関税戦争、アメリカには分がないと思います。以前申し上げたと思いますが、就任から半年ぐらいしたとき、大きな動きが出てくるかもしれないと思っています。もちろんアンチ トランプの国民感情と経済です。株価が崩落する中、投資収入に頼るアメリカ国民は個人資産の血を流しています。トランプ氏が関税という銃を撃ちまくり、アメリカ国民が血を流す、こんなバカバカしいシナリオはないのです。仮に関税の壁を作るならアメリカが全てを自給自足し、かつ成長を望まず、アメリカ国内でじっと閉じこもることを選択し、その準備をしっかりしない限り、アメリカの勝ち目はないでしょう。