先日トランプ氏が8つを列挙した「非関税障壁」の2番目にも、「関税や輸出補助金と同じ役割を果たす付加価値税…VATs which act as tariffs and export subsidies」(4月21日NHK NEWS WEB)とありました。例えば日米間で言えば「現在、日本がアメリカ企業から商品を輸入する場合、商品価格と関税に加え、国内で消費税が上乗せされる。一方、日本国内で生産した商品をアメリカへ輸出する場合、材料費など製造段階でかかった消費税は国内消費に回るわけではないため、海外輸出分については既に支払った消費税分が日本企業へ還付される仕組みになっている」ものです(4月9日テレ朝news)。いま我国でも「全世代型の社会保障を支える重要な財源」(石破首相)であるはずの消費税が、輸出企業等のためにあることが白日の下に晒され、様々な事柄が明らかになってきています。

トランプ氏は賢明かつ公正に納税者の金を使うべく、強力な一つの武器として関税というものを使っているのだろうと思います。DOGE(米政府効率化省…Department of Government Efficiency)にしても極めて効率的に動き、マスク氏は「2026年度に無駄と不正の削減によって1500億ドルを節約できる見込みであると発表しま」した(4月11日TBS NEWS DIG)。これまでの税金の使い方で、使途不明・意義不明といった類を全て変えて行こうというのがトランプスタイルであります。「対外援助」を隠れ蓑に己の懐を肥やすことに力を入れてきた政治家の悪事が炙り出される等々、ある意味国の内外を問わぬ粛清であると共に浄化ということで、清くする上では実に思い切った手段を取らざるを得ないのだろうと思います。

東洋哲学的に言えばDOGEというのも正に、「一利一害」という考え方を実践しているものです。最後に、当ブログ「北尾吉孝日記」(24年4月3日)より以下ご紹介致しておきます――モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンに重用された耶律楚材(やりつそざい)は、「一利を興(おこ)すは一害を除くにしかず。一事を生やすは一事を減らすにしかず」ということ、即ち絶えず問題を省みて省くことの大切さ・必要性を説きました。私はこの考え方ほど、組織運営において正しい真理は無いと思っています。(中略)官民問わず基本いかなる組織体であろうとも、使った資源に対する得られた成果割合を最大化すべく、効率を重視しなければなりません。(中略)「一利を興すは」利がありそうなものをどんどん付け加えて行けば良いのではなくて、「一害を除くにしかず」と耶律楚材が言っているように省くことが極めて大事なことだと思います。(中略)例えば赤字を垂れ流す事業という一害を除いたら、その垂れ流していた利益を他の一利を興すために持って行けるわけです。私は、こういうことが常に革新を生む一つの条件になる、と思っています。