今月2日「解放の日」、世界中が高関税適用にびっくり仰天し、その日を境に政府にしろ企業にしろ右往左往している状況かと思います。他方トランプ氏は株が暴落したところで、何一つ慌てるわけでもありません。何故かと言えば、「アメリカ・ファースト」を掲げ国民の信託を受け大統領になったトランプ氏には、国内製造業の復活のため何とかせねばならないという強い思いがあるからです。そして嘗ての隆々たる製造業従事者のうち低所得層に落ち零れた多くの人を、MAGA(Make America Great Again)で今一度日の目を見る所に導いて行くことが、自分の使命であり仕事だと認識しているからです。株を保有しているのは殆どが富裕層であって、彼等彼女等が泣こうが喚こうが文句を言おうがトランプ氏には関係ないわけです。
トランプ氏のターゲットというのは、中産階級以下のレベルを如何にグレートな状況に再生するか、米国自身がきちんと製造業を有しある意味「生産立国」として再生するか、先ずは此の2点にあろうかと思います。そもそもが、こうした選挙公約を如何に実現するかという観点から全ては仕組まれているわけで、私などは、「当然やることをやっているだけ」との基本認識ゆえ一々に大慌てすることもありません。9日、全面発動した後トランプ氏は債券市場等の動揺を抑えるべく相互関税の延期・除外等と矢継ぎ早に様々な手を柔軟に打ち続けていますが、現況、対米投資拡大を表明する海外企業はどんどんと増えて行き、各国との交渉にも進展が見られ「トランプスピードで動いている」(レビット米大統領報道官)ようです。トランプ氏としては、“so far, so good”位に捉えているのではないでしょうか。暫くは各方面に相当なターモイルが生じ、一定の辛抱を要することにもなると思いますが、必ずや近い将来、貿易不均衡の是正のみならず大きな成果を生み出して、新しい形で米国という国の一つの存在感を示せるものと私は思っています。