これは年齢や収入、既往歴など多くの要因を調整したうえでも、有意な差が残りました。
さらに注目すべきは、糖尿病を発症した配偶者がその後、心血管疾患(CVD)を発症した場合に、うつ病リスクがさらに高まっていたことです。

研究チームは「パートナーの糖尿病→心血管疾患の発症→サポートする側のうつ病」という因果関係の一部を媒介分析によって明らかにし、うつ病リスク全体の22.4%がこの配偶者のCVDによって説明できることを突き止めました。
つまり、糖尿病によって生じる心臓病や脳卒中のような深刻なパートナーの病態が、それをサポートする側にとって大きな精神的打撃となり、それがうつ病の発症につながる可能性があるのです。
以上の結果から、糖尿病の影響は患者本人だけにとどまらず、それを支える配偶者の心の健康にも及ぶことが明らかになりました。
「家族で病気と向き合う」ことの大切さが、改めて浮き彫りになった研究と言えるでしょう。
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参考文献
配偶者の糖尿病発症と本人のうつ病の関係が明らかに
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-04-24-0
元論文
Depression Risk Associated with Spouses’ Diabetes and Cardiovascular Events: A Nationwide Cohort Study
https://doi.org/10.1093/aje/kwaf075
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部