私たちのメンタルヘルスは、一緒に生活するパートナーの健康状態にも大きく影響を受けるようです。
京都大学らの研究チームはこのほど、日本の全国健康保険協会の大規模な医療データを解析した結果、パートナーが糖尿病であると、うつ病の発症リスクが高まることを明らかにしました。
研究の詳細は2025年4月16日付で医学雑誌『American Journal of Epidemiology』に掲載されています。
目次
- 配偶者のサポートに心理的負担
- パートナーが糖尿病だと「うつ病リスク」が上昇
配偶者のサポートに心理的負担

糖尿病は、血糖値の慢性的な上昇を特徴とする疾患で、放置すると視力障害、腎不全、心筋梗塞、脳卒中などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
特に2型糖尿病は、日本における最も一般的な生活習慣病の一つであり、年齢や遺伝的要因に加えて、食生活や運動不足などの生活習慣が大きく影響します。
治療には、血糖コントロールのための食事療法、運動療法、薬物療法があり、長期にわたる自己管理が必要です。
このような慢性疾患の特性から、患者の周囲、特に配偶者や家族が日々の生活の中でケアを担うことも多くなります。
実際、これまでの研究でも、糖尿病患者のパートナーには、日常的なサポートや不安、将来への心配など、さまざまな心理的ストレスがかかることが報告されてきました。
そしてこの心理的なストレスは「うつ病」という形で現れるかもしれないことが、新たな研究で示されたのです。
パートナーが糖尿病だと「うつ病リスク」が上昇
今回の研究では、日本の健康保険加入者の中から52万1010組の夫婦(平均年齢 54.1歳)を抽出し、2016〜2021年の6年間にわたって追跡調査が行われました。
そしてデータ分析の結果、配偶者(パートナー)が糖尿病と診断された人は、そうでない人に比べて、うつ病を新たに発症するリスクが8%高いことが統計的に示されたのです。