崩壊寸前のコアラの生息地
今回の論争はコアラが置かれている危機的な状況の中で起こった。2022年、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、オーストラリア首都特別地域において、コアラは公式に絶滅危惧種に分類された。オーストラリア政府のデータによれば、過去20年間でコアラの個体数は50%から62%も減少したと推定されている。
森林火災は脅威の一つに過ぎない。都市化や農地拡大による生息地の喪失、病気、そして地球温暖化の影響が、この有袋類の生存をさらに圧迫しているのだ。2019年から2020年にかけてオーストラリア東部で発生した歴史的な大規模火災では、約30億もの動物が死んだり、住処を追われたりした。最も被害が大きかった地域では、コアラの最大71%が姿を消した。

(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)、『TOCANA』より 引用)
さらに、失明、不妊、死を引き起こす細菌感染症が、一部地域では個体の約85%に影響を及ぼしている。抗生物質による治療は必要だが、彼らの主食であるユーカリの葉を消化する能力を損なう副作用があり、回復への取り組みにおけるジレンマとなっている。気候変動は食料の質にも影響を与える。熱波や長期的な干ばつは、ユーカリの葉の水分や栄養価を低下させ、コアラはエネルギーを得るためにより多くの葉を消費する必要があるが、分断された生息地ではそれが常に可能とは限らない。