●この記事のポイント
・テスラ、1~3月期の営業利益が前年同期比約7割減、日本では同56%増で過去最高
・専門家「自動車単体としてみると、日本車と比較して大きく劣っているという点はない」
・日本メーカー、20~30年後のEV普及期を見据えて、より低価格で性能の高いEVを生み出すべく開発を着々と推進
米トランプ政権に参画するイーロン・マスクCEOの政治的言動に端を発する世界的な不買運動の影響で、1~3月期決算の営業利益が前年同期比約7割減の3億9900万ドル(約560億円)に沈んだEV大手テスラ。そうした情勢を尻目に、日本では同期間のテスラ車の販売数が同56%増(4月18日付日本経済新聞より)と同期としては過去最高となるほど販売が急拡大している。なぜ日本市場でのみ特異な現象が生じているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
日本、全新車販売のうちEVが占める比率は1%台
米トランプ政権入りして政府効率化省(DOGE)を率いるマスク氏の言動がテスラの経営に及ぼしている影響は大きい。同社の自動車部門の1~3月期の売上高は同20%減となった。テスラにとって逆風となっているのは、これだけではない。BYDをはじめ、高性能と低価格をウリにする中国EVメーカーが世界で徐々にシェアを拡大させつつあり、四半期ベースの世界販売台数ではBYDがテスラを上回る期も出現。2025年暦年ベースではBYDがテスラを抜いて世界EV市場シェア1位に躍り出るとの見方も強い。
失速気味とはいえ世界でEVシフトが続くなか、日本市場ではEVの販売は伸びていない。日本自動車販売協会連合会の発表によれば、24年の国内のEV販売台数は前年比33%減の5万9736台。全新車販売のうちEVが占める比率はわずか1%台だ。「サクラ」「リーフ」を持つ1位の日産自動車でも年間販売台数は約3万台にすぎず、「eKクロス EV」を持つ三菱自動車が2504台、「bZ4X」を持つトヨタ自動車は2038台。ちなみにテスラは5000台程度とみられている。