だが、この発想が機能するのは若いうちだけである。やがて年齢を重ねたとき、地道に市場価値を積み上げてきた人間に、何の余力もなく追い抜かれていく。

コスパ悪い頑張りが未来を作る

よく考えれば、どの分野でも上に行く人間は例外なく、最初は「割に合わないこと」を続けている。

管理職になる者は、上司に可視化される形で地道な積み重ねを行い ハイスキル人材は、休日も自己研鑽に時間を投資し 起業家は、売上ゼロの時期に営業と構築を繰り返す YouTuberやブロガーは、誰にも見られない投稿を数年間続け アスリートは、成果が見えない基礎練習を何千時間もこなす

いずれも、短期的には「コスパ最悪」である。しかし、その非効率なプロセスこそが、後の圧倒的成果につながっているのである。

現代社会において、「確実な即時リターン」がなければ動けない人が大半。

だからこそ、あえて“割に合わないこと”に取り組める人間は、レアであり、その努力体験そのものが価値を持つ。

さらに、そうした“地味で泥臭い努力”は他者からの共感や応援を生む。SNS社会においては、この「応援される構造」自体が新たな資本になり得る。

努力する姿は承認欲求を満たし、その過程がストーリーとなってブランド価値を形成していく。つまり、非効率を選び抜いた行動こそが、実は最も高コスパな自己投資なのではないかという逆説に行き着く。

すべてを“損得”や“効率”で判断する思考は、確かにスマートではある。だが、それは同時に「人と違う努力」や「報われるまでの我慢」を避ける思考でもある。そして、他人と同じ努力しかしない人間が、他人と違う成果を得られるはずもない。

本当に大きな成果を望むのであれば、いま割に合わないと感じる努力に、敢えて飛び込む覚悟が必要である。その“非効率な選択”こそが、未来において唯一無二の差を生み出すのだ。

 

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