その結果、飼い主は親友や家族を含め、人間の誰よりも愛犬との関係性に最も高い満足度を示していたのです。

特に「仲間としての一体感」「安心して頼れる関係性」「低ストレスで気軽に付き合える」といった評価スケールでは、親友と同等かそれ以上の高得点を記録しています。

また、犬との関係では「不和や対立の少なさ」も際立っていました。

親友や恋人との間にはしばしば衝突も起こりますが、犬とはほとんど喧嘩をしないという点が、満足度の高さにもつながっていたのです。

さらに興味深いのは「支配関係」に関するスコアです。

犬との関係では、飼い主が圧倒的に主導権を持っており、人間関係に比べて極めて非対称な構造となっていました。

この点は、親と子どもとの関係に似ています。

つまり、飼い主にとって愛犬は「安心して頼れる親友のような存在」でありながら、「完全にコントロール可能で、世話をしたくなる子どものような存在」であり、そのユニークな関係構造が深い満足感を生んでいると考えられます。

年齢や家族構成で「犬との関係」も変わっていた

チームはさらに、飼い主のライフステージや家族構成によって、犬との関係性がどう変化するのかも分析しました。

たとえば、子どもがいる家庭では、犬に対する関係スコアが若干低下する傾向が見られました。

特に「親密さ」「世話したいという気持ち」「愛情」などのスコアが、子どもを持たない飼い主よりも低くなることが確認されました。

これは養育リソースが人間の子どもに向くためと考えられます。

一方で、若年層(特に独身者や新婚層)や高齢層(いわゆる“空の巣”世代)では、犬との関係スコアが非常に高くなる傾向がありました。

人間関係が希薄になりがちな時期に、犬が強い社会的サポートの役割を果たしているのです。

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Credit: canva

また、犬の年齢によってもその役割は異なります。

子犬のうちは「子ども」のように世話が必要で、飼い主の手間も多いですが、そのぶん絆も強くなっていました。