「PERFECT DAYS」という映画があります。役所広司主演、ヴィム・ヴェンダース監督でカンヌで男優賞も取っているので「見た」という人も多いでしょう。

【公式サイト】「PERFECT DAYS」

筆者も昨年アマプラで視聴したんですが、平凡な主人公の日々の出来事を淡々と描くスタイル(筆者が最も苦手とするタイプ)のため「こりゃ30分持たないだろう」と思ったにもかかわらず、なぜかぐいぐい引き込まれてエンディングまで一気に見終えた記憶があります。

いや、ほんと刺さる人には刺さる映画だと思いますね!

PERFECT DAYS 公式HPより

ただ、先日、同じように「見た、そしていい映画だった」という知人と何気なく会話をしていて、あることに気づいたんですね。

本作はキャリアという観点から見ると、おそらく見た人のほとんどが抱いたであろう印象とはだいぶ違った話なのではないか。

(もちろんこういう作品に正解はなく見た人がそれぞれ解釈すればいい話なんですが)そしてエンディングまでに描かれた細かなディティール、設定をたどると、恐らくそれが作り手の置いた作品の本筋なのではないか。

というわけで、今回は本作をキャリアデザイン的に解釈してみたいと思います。視聴済みの人はもう一度記憶を掘り返してチェックしてみてください。未視聴の人には作品に触れるきっかけとなるかもしれません。

「PERFECT DAYS」とは何か

ネタばれして困る種の映画ではないので、おおまかなあらすじを紹介しておきましょう。

主人公の平山は、渋谷区内の公衆トイレの清掃人として働いている。現場に自家用車で直行直帰し、会社とは電話でしか連絡しないことから、おそらくは業務委託なのだろう。