この墓地では2010年に、屈強な若い男性82体の骨格が見つかったことで知られ、主に剣闘士たちの遺体が埋葬された場所として知られます。
当時の専門家たちは歯のエナメル質の分析から、これらの剣闘士たちがローマ帝国のさまざまな属州から来ていたことを突き止めています。
そうした背景の中で、チームは驚くべき遺骨を発見したのです。
ライオンと決闘したグラディエーターを発見!
チームは注目したのは「6DT19」と呼称される約1800年前の遺骨です。
6DT19の遺骨は26歳から35歳と推定される男性のもので、別の2人とともに1つの墓に埋葬され、その上には馬の骨が重ねられていました。
彼は生前、背中への過度な負担による脊椎の問題、肺や大腿部の炎症、幼少期の栄養失調などを経験していたようですが、いずれも回復していたと見られます。
そしてチームが最も注目した点は、6DT19の骨盤に大きな穿孔痕(せんこうこん)があったことです。

チームはこの穿孔痕を3Dスキャンし、ネコ科、イヌ科、クマ類の噛み跡パターンと比較。
その結果、この穿孔痕はライオンに噛まれたことでできた傷であることが特定されたのです。
さらに穿孔痕には治癒した痕跡がなかったため、この剣闘士はライオンと戦った直後に死亡した可能性が指摘されています。
もしかしたらライオンに骨盤を噛まれて、そのまま引きずられながら絶命したのかもしれません。
あるいは”肉を切らせて骨を断つ”ように、ライオンが体に噛み付いている隙に、剣を突き刺して相討ちになった可能性もあります。
いずれにせよ、この発見は剣闘士がライオンと実際に戦っていたことを示す世界初の物的証拠となりました。

同チームのマリン・ホルスト(Malin Holst)氏はこう語ります。