実験では、あらかじめ分類された1000個以上の錐体細胞に可視光レーザーを照射。
その結果、被験者はこれまでに見たことのない、極めて彩度の高い新しい色を知覚しました。

この色は「olo」と名付けられました。
この名前は、L・M・Sの錐体細胞への刺激の組み合わせを2進数表記で(0・1・0)と表し、M錐体だけが活性化した状態を示すものです。
そしてoloは従来のどんな単色光とも一致せず、白色光を混ぜて“薄めないと”色合わせ(oloの色と他の色を比較したり、調整して一致させたりすること) ができないという特異性を示しました。
これは、oloが人間の自然な色覚の範囲を超えている証拠です。
では、oloはどんな色なのでしょうか。
新色「olo」ってどんな色?
研究チームによれば、oloに最も近いのは「極めて彩度の高い青緑色」だそうです。
彼らがoloをイメージさせるたに共有した色は、以下のとおりです。

しかし、本当のoloをモニター越しに伝えることはできません。
この画像の色は、oloを予想するための「別の色」です。
正確なoloを見るには目にレーザーを照射するしかないため、ほとんどの人はこの色で満足するしかなさそうです。
それでも、この研究が示す最大の意義は、「人間が知覚できる色の限界が、技術によって突破可能である」という事実です。
そしてこの技術は、色覚異常の補正や、人間の視覚能力の拡張といった応用にもつながる可能性を秘めています。
研究者たちは「Ozは視覚神経科学において、網膜レベルでの制御を可能にするまったく新しい実験プラットフォームである」と述べています。
人間の「見る力」の限界を、テクノロジーの力で突破できる時代が始まったのかもしれません。
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参考文献