枢機卿の勢力図からいえば、信者数が増えているアジアとアフリカ教会から次期教皇が誕生しても可笑しくない。南米教会はフランシスコ教皇が出たばかりだから、2期連続、南米出身の教皇誕生の可能性は少ないだろう。
以上から、次期教皇にはアジア教会、アフリカ教会からの枢機卿が選出されることが十分考えられるわけだ。ただ、本命候補者がない場合、ショートリリーフ役の教皇が選ばれることがある。例えば、教理省長官だったベネディクト16世が27年間の長期政権を担ってきたヨハネ・パウロ2世の後に選ばれたケースはそれに該当するだろう。
コンクラーベはシスティーナ礼拝堂で挙行されるが、コンクラーベに参加した枢機卿は投票前に秘密保持を宣誓しなければならない。誰が何票集めたか、といった情報が外部に流れると、投票後にもさまざまな影響が出てくることが考えられるからだ。
コンクラーベ開催中、妨害電波が流れることがある。バチカンの治安担当官は「盗聴防止はやむ得ない処置だ。しかし、100%、防止は出来ない。システィーナ礼拝堂のような歴史的建物では内部の音波が外部に流れやすいからだ」という。
情報を外部に流した枢機卿や関係者は最悪の場合、破門される。それほどバチカンは秘密保持に神経を使っている。「コンクラーベには神が働く」といわれてきたが、盗聴された場合、神が働く前に人の悪知恵が先行するケースが出てくるからだろう。
格言を思いだす。人は考え,神が決める。コンクラーベでもそうあってほしいものだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。