来月初めにはコンクラーベが挙行される。選挙権を有する80歳未満の135人の枢機卿が参加する。選出されるためには3分の2の支持が必要だ。具体的には90人の支持だ。メディアでは次期教皇の有力候補者の名前が報じられているが、コンクラーベの場合はサプライズが付き物だ。ここでは選挙権を有する135人の枢機卿の出身地域を見てみたい。

フランシスコ教皇の遺体が眠るサンタ・マルタ礼拝堂、2025年04月23日、オーストリア国営放送からスクリーンショット

先ず、135人の枢機卿の内訳は、欧州出身が53人で依然、最大勢力を誇る。それに次いでアジア教会の23人、アフリカ教会18人、南米教会17人、北米教会16人、そして中米とオセアニア教会が各4人の順序となる。

カトリック教会では最高指導者ローマ教皇は初期はイタリア教会から選出されることが通常だった。冷戦時代、東欧のポーランドからヨハネ・パウロ2世が選出されたことはその意味で異例だったわけだ。また、21日に亡くなったフランシスコ教皇のアルゼンチン出身も初めての事であり、当時、世界のカトリック教会はビックリした。

選挙権を有する枢機卿の勢力図からみれば、次期教皇は欧州教会出身の枢機卿が有利のように見られるが、その可能性は高くはない。その理由は、①ベネディクト16世がドイツ教会出身だったばかりで、カトリック教会内では次期教皇は欧州教会以外からという声が強い、②欧州教会ではここ数年、聖職者の未成年者への性的虐待事件が多発し、教会への信頼性が大きく揺れている。その結果、信者の教会離れが加速している、等が挙げられる。

欧州教会の衰退は前回のコンクラーベから見ても明らかだ。2013年3月のコンクラーベでは欧州出身の枢機卿は60人だった。選挙権を有する枢機卿の数は当時、115人だったから、欧州出身の枢機卿は依然、コンクラーベ参加枢機卿の過半数を占めていた。今回は53人だから、過半数の90人からは遠い。コンクラーベで欧州出身の枢機卿が過半数割れしたのは今回が初めてだ。これをみても、欧州教会の衰退が一目瞭然となる。