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(前回:炎上する「職場の困った人」をめぐる書籍と議論に関する考察)
今回紹介する『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(神田裕子著・三笠書房刊)は出版前にもかかわらず炎上騒動に巻き込まれた。版元の三笠書房も公式見解を公表している。
私にはジャーナリストとして公平な立場で取材を行うことが求められる。本書を入手したので解説したい。
【三笠書房の公式見解】
神田裕子著『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』について
本書の内容例
本書では、職場でのコミュニケーション上の問題について具体例を挙げながら解説している。例えば以下のような事例が紹介されている。
品質管理の業務に携わるAさんは、取締役にもタメ口を使い、商談の場に不適切な服装で現れるなど、社内で「変わった人」と見られていた。著者は、この事例について「ASDの傾向がある人」という観点から解説し、対応方法として専門家のアドバイスを参考にするよう勧めている。
「取引先に不適切な格好で行こうとするのも、自分にベクトルが向いているからです」と著者は説明し、「ASDの傾向がある人は、平等意識に長けていて正義の味方でいる半面、権威に弱い傾向があります」と続けている。著者は、このような人物に対して専門家が書いたマナー本を渡したり、専門家の研修を受けるよう勧めたりする方法が有効だとも述べている。