「ペットを飼いたいけど、費用や飼育の大変さを考えると迷ってしまう」という人は多いでしょう。
イギリスのケント大学(University of Kent)の研究は、そんな私たちに新たな判断材料を与えるものとなりました。
研究チームは、猫や犬などのペットを飼うことが結婚や親しい友人との交流と同等の人生満足度向上をもたらし、その価値は年間約7万ポンド(約1,324万円)に相当することを明らかにしたのです。
ペットとの何気ない触れ合いは、私たちの想像以上の幸福をもたらす“見えない資産”なのです。
研究の詳細は、2025年3月31日付の『Social Indicators Research』誌に掲載されました
目次
- ペットを飼うと幸せになる?
- ペットと暮らすことには「年間1300万円の価値」がある
ペットを飼うと幸せになる?
ペットを飼うことに憧れる人は多いものです。
しかし、毎日の餌代や定期的な動物病院への受診費、ケア用品の費用など、経済的負担に悩む声も少なくありません。
では、それらの負担を上回るくらい、ペットを飼うことにはメリットがあるのでしょうか。

これまでの研究では、ペット所有とストレス軽減や社会的孤立の緩和、さらには心血管疾患リスクの低下など、健康面と幸福度における相関関係が多く示されてきました。
しかしこれらの相関は未解明な部分も多く、「ペットを飼うから幸せなのか」「もともと幸福な人がペットを飼うのか」といった議論もなされてきました。
そこでケント大学の研究チームは、英国における大規模なパネル調査「UK Household Longitudinal Study(UKHLS)」を用い、約2600世帯にわたる調査データ(2010年~2024年までの追跡データ)を分析しました。
人生満足度(1~7点)、ビッグ5性格特性(開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向)、および犬・猫などのペット所有状況を詳細に収集し、それらの関係性を明らかにしたのです。