研究チームはハシボソガラス(学名:Corvus corone)2羽を用い、コンピュータの画面に表示された6つの図形から1つだけ一致しない画像を検出するよう訓練しました。

カラスたちは、図形の選択に正解するとエサがもらえることを学びました。

研究チームは、この実験に関して次のように述べています。

「これらのカラスは、これまで同様の課題を与えられたことはありませんでした。

つまり今回の実験でカラスは、以前に学習したものではなく、カラスが元々もつ幾何学的な感覚(図形の規則性や違いを識別する能力)を発揮することになります」

私たち人間が生まれながらに持っている図形を認識する能力が、カラスにも存在するのか調べているのです。

では、どんな結果になったでしょうか。

カラスは図形の規則性を認識し、異なる図形を見抜くことができる

研究の結果、カラスは「図形の違いを見分ける力」を持っていると判明しました。

例えば、カラスは長方形の図形の中に星型の図形が置かれていれば、すぐに星型を見つけることができました。

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正方形から台形を見つけるテスト / Credit:Andreas Nieder(Eberhard Karl University of Tübingen)et al., Science Advances(2025)

また、研究チームがより難しい課題(傾きを変えたり、大きさを変えたりした正方形5つと台形1つ)を出した場合でも、正確さが低下するものの、偶然よりもはるかに高い精度で正解を見つけることができました。

さらに、追加のテストにより、カラスたちは、平行線や直角、対称性でさえ、ある程度理解していることを示しました。

この発見は、カラスが生まれつき幾何学的な感覚を持っている可能性を示しています。

研究チームは、鳥たちが現在位置を把握したり適切な方向に移動したりするために、この感覚を利用している可能性に言及しています。