「図形を読み解く」力は、人間がもつ特別な力でしょうか。
最新の研究は、動物も私たちと同じように形状の違いを認識できることを教えています。
ドイツ、エバーハルト・カール大学テュービンゲン(Eberhard Karl University of Tübingen)の研究チームは、カラスが幾何学的図形の違いを高い精度で見分けられることを明らかにしました。
カラスたちは人間と同じように、様々な大きさや向きの「正方形」の中から「台形」を選択することができたのです。
研究の詳細は、2025年4月11日付の学術誌『Science Advances』に掲載されました。
目次
- 動物は図形の規則性や違いを認識しているのか
- カラスは図形の規則性を認識し、異なる図形を見抜くことができる
動物は図形の規則性や違いを認識しているのか
昔から、人間と同様、動物も数の概念を持っていることは知られていました。
しかし、点、直線、多角形といった基本的な幾何学的図形の性質と関連性を認識する能力に関して、人間と動物には顕著な差があります。
そのため、形状の違いを認識する力(幾何学的図形の違いを見分ける力)は、これまで人間特有の能力だと考えられていました。

例えば、星の形状のプラスチックが複数存在する中に、月の形状のプラスチックを置いたとします。
この状況で月の形状のプラスチックを見つけ出すことができるなら、幾何学的図形の規則性や違いを認識できていることになります。
過去、こうした能力を持つか見極めるテストがチンパンジーやボノボで行われてきました。
しかし、ヒト以外の生物でこの能力が観察されたことはなかったと言われています。
では本当に動物には基本的な図形の違いを見分けることができないのでしょうか。
今回の研究では、知能が高い動物として知られるカラスの能力を調査しました。
