政府はキャリアアップ助成金やトライアル雇用奨励金といった制度を設けていますが、より積極的な活用と予算の拡充が必要です。氷河期世代の正規雇用化を促進することで、ようやくこの世代の努力が報われる道筋が開かれます。
また、間もなく年金受給世代に入る我々にとって、非正規として積み上げてきた年金額の少なさは将来的な不安要因です。希望する人が働き続けられる環境の整備も求められています。高齢層のスキルを活かすことは、少子化が進む現代において企業側もやぶさかではないはずで、社会全体の生産性を維持するためにも不可欠です。
氷河期世代を支援することは、単なる「過去の救済」ではなく、日本社会の持続可能性に直結する重要課題です。今こそ、リスキリングだけでなく、すでにスキルを持ち実績を積んできた人材への正当な処遇という視点で、政策を転換すべき時だと強く感じています。
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松橋 倫久 1978年青森県生まれ。東北大学経済学部卒業。弘前大学大学院医学系研究科修士課程修了。元青森県職員。統合失調症により退職後、求職者支援訓練Webデザイン科を経て、現在求職活動中。