そして年金受給者や無職である。インフレで年金支給額の調整はあるものの、激しいインフレには対応できず、実質的な生活水準が下がってしまう。
また、無職で収入がない状態で物価が上がると、支出だけが増えて生活は厳しくなる。数年前、世界中で流行ったFIREブームも今後はわからない。確かに彼らは株式という資産を持ってリタイヤするのだが、インフレ経済化で株が長期低迷すればFIRE生活の継続は難しくなるだろう。
努力が報われやすくなった
インフレに対してひたすら否定的な見方をする人が多いが、筆者はそうは思わない。
企業は付加価値を高めて収益率を高める努力が報われる。
ビジネスマンもスキルに投資し、稼ぎを増やしてインフレ連動資産を買い続ける。
こうした努力は、むしろデフレ経済下より報われやすくなったと言えるはずだ。デフレ経済ではお金を使わず、貯金が一番報われる社会であったため、節約が最適解、買い物は最小限にして値下げを待つのが一番良かった。
だが、これからは違う。積極的に努力して力をつけ、インフレに対抗することが最適解になる。もちろん、これは痛みを伴うが成長という観点で見た場合はデフレより良いという視点もあり得ると思っている。
インフレでは努力して稼ぎを増やし続けなければ、待ちの姿勢では圧倒的に不利になる。だが「働いたら負け」という諦め的な空気よりよほど健全だろう。
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日本のみならず、すでに世界規模でインフレしており、さらに人口減少でその勢いに拍車がかかっている。時代は変わったのだと環境認識をして、来る新しい時代に備える必要があるだろう。
デフレからインフレに切り替わることで、できるなら仕事を変え、資産配分を変え、欲しいものは早く買ってしまった方が合理的になった。生き方を180度転換するのはなかなか難しいことではあるが、変化に対応できるものが強者である。
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